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民法167条(債権等の消滅時効)

【解説】

1.消滅時効の期間

本条は、消滅時効の期間について定めた規定です。

これは債権と債権以外の財産権を分けて考えます。

債権の時効消滅期間は、10年です(第1項)。

そして、債権以外の財産権(地上権など)の時効期間は、20年です(第2項)。

2.所有権の消滅時効

どのような権利が時効で消滅するかという問題がありますが、基本的には、どのような権利でも時効で消滅します。

しかし、所有権は時効で消滅しないというのは、覚えておいて下さい。

所有権というのは、いろいろな権利の中でも、別格で非常に重要なものと考えられています。したがって、所有権は時効で消滅しません。

たとえば、Aの所有地をBが勝手に占有して、10年とか20年が過ぎれば、Bは時効取得します。したがって、Bが時効取得すれば、Aは結果として所有権を失います。

ただ、この話と所有権は時効で消滅しないという話を混同しないで下さい。

所有権が時効消滅しないという話は、たとえばAが土地を所有しているにもかかわらず、長年荒れるにまかせて、放置していたとします。これが貸金(かしきん)の請求だったら、放置していれば、その貸金の返還請求権は時効で消滅しますよね。放置=時効消滅なわけです。

ところが、Aが土地を放置しているだけだったら、永久に時効消滅しません。これが所有権が時効消滅しないということの意味です。放置=時効消滅ではないのです。Aが土地を放置している間に、Bが時効取得したという事例は、Bが時効「取得」したことの反射として、Aが所有権を失っただけです。Bが時効取得するというようなことがなければ、Aは長年土地を放置していても、時効で所有権を失うことはありません。