※この記事は一般的な条文解説で、宅建等の資格試験の範囲を超えた内容も含みます。当サイトの記事が読みやすいと感じた方は、当サイトと資格試験向け教材の関係をご覧下さい。

民法(債権関係)の改正について


この度、民法が約120年ぶりに大改正され、2020年(令和2年)より施行されることになりました。

そこで、このホームページでは、この改正民法の解説を行いたいと思います。

ただ、大変大規模な改正のため一度にすべてをアップロードすることは難しいので、徐々にホームページを充実させていきたいと思いますので、ご了承下さい。是非、「お気に入り」や「ブックマーク」に登録しておいて下さい。

もともと民法は明治29年(1896年)に成立したものです。

細かい改正は別として、この民法が大きく改正されたことがあります。第二次大戦後の昭和22年の日本国憲法の施行に伴う民法第4編 親族及び第5編 相続の全面的な改正です。

しかし、親族・相続以外の部分は、明治時代に成立した民法が続いており、当時は条文も漢字とカタカナで表記されていました。

この漢字+カタカナのスタイルも、2005年(平成17年)施行の民法口語化の改正がなされ終わりを告げました。平成17年の改正ですから、漢字+カタカナの古いスタイルが意外に最近まで残っていたことになります。実際の条文は、こんな感じで変更になっています。

第1条 私権ハ公共ノ福祉ニ遵フ
  ↓
第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

この民法の口語化・現代語化により、「見た目」は大きく変わりましたが、内容的には、このときの改正では口語化・現代語化以外の部分は、最小限の改正にとどまり、その後の判例の集積や、時代の変化に伴う改正は先送りになっています。

そこで、今回の改正です。今回の改正では民法の債権関係について、条文には規定されていないけれども判例として定着していたものや、社会・経済の変化に対応するための改正が、大小含めて200程度も変更されています。

改正の対象は、基本的に第3編「債権」の規定ということになります。しかし、それ以外でも債権との関わりが深い規定、たとえば第1編「総則」の意思表示や消滅時効の規定なども改正の対象となっていますが、逆に債権関係の規定であっても、事務管理、不当利得、一部の規定を除いて不法行為の規定は改正の対象となっていません。




【参考】改正民法(債権関係)の成立までの経緯

平成21年(2009年)10月…法制審議会民法(債権関係)部会の審議が始まる

平成27年(2015年)2月10日…法制審議会民法(債権関係)部会要綱案決定

 同年 2月24日…法制審議会総会要綱決定(全会一致)→答申

 同年 3月31日…閣議決定・法案提出

平成29年(2017年)5月26日…成立

 同年 6月2日…公布

令和2年(2020条)4月1日…施行(公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日)