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第425条の3(受益者の債権の回復)


【改正法】(新設)
(受益者の債権の回復)
第425条の3 債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第424条の4[過大な代物弁済等の特則]の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。
【旧法】
なし

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、債務消滅行為が取り消された場合に、受益者の債権は復活するのかという点について、復活する旨を規定した条文です。

従来判例は、詐害行為取消権の効果を相対的取消しとしており、取消しの効果は債権者と受益者の間でのみ生じ、債務者には及ばないとしていました。そうであるならば、詐害行為取消訴訟の効果が債務者に及ばないにもかかわらず、受益者の「債務者に対する」債権が復活するのはおかしい、ということになりかねませんが、判例は、受益者の債権が復活するという判断を示していました。

この点、改正法では詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有するとしています(425条)。

したがって、改正法では詐害行為取消権が行使され、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権が復活する旨を規定しました。