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第521条(契約の締結及び内容の自由)


【改正法】(新設)
(契約の締結及び内容の自由)
第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。

2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
【旧法】
なし

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

改正法の第3条の2(意思能力)の規定もそうですが、本条は民法の基本原則に関する規定ですが、えらく基本的な原則を規定にしたもんだな、という感じです。

今回の改正は、従来の判例・学説や法理論などで、旧法では規定されていないものを明文化するというのが目的の一つですので、本条はその考えにしたがったものでしょう。

条文全体としては、民法の基本原則である契約自由の原則を明文化したものです。

この契約自由の原則は、一般的に以下の内容のものだといわれています。

①契約締結の自由…契約を締結するか、締結しないかの自由です。
②相手方選択の自由…契約を締結するに際して、相手方を選択する自由です。
③契約内容の決定の自由…どのような契約内容にするかを決定する自由です。
④方式の自由…契約を書面でするのか、口頭でするのかの方式を決める自由です。

このうち、本条では第1項で①契約締結の自由を、第2項で③契約内容の決定の自由を定めています。

ただ、このように契約の「自由」のみを明文化すると、それが行き過ぎになるのではないかという心配もあります。現に、強行規定や公序良俗(90条)に反する契約は認められません。そこで、契約自由の原則と併せて、その契約を定めて、自由にも限界があるという点も同時に定める必要があります。そこで、「法令に特別の定めがある場合を除き」(第1項)、「法令の制限内において」(第2項)という留保を付けています。現行民法においても206条の所有権の内容の規定で、「法令の制限内において」という表現が使われています。