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旧第527条(申込みの撤回の通知の延着)


【改正法】
削除
【旧法】
(申込みの撤回の通知の延着)
第527条 申込みの撤回の通知が承諾の通知を発した後に到達した場合であっても、通常の場合にはその前に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、承諾者は、遅滞なく、申込者に対してその延着の通知を発しなければならない。

2 承諾者が前項の延着の通知を怠ったときは、契約は、成立しなかったものとみなす。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、申込みの撤回の通知が延着した場合の規定です。

旧第527条(申込みの撤回の通知の延着)

旧法では、承諾について発信主義が採られていることを前提に、承諾を発信すれば、本来ならば契約が成立しているはずですが、承諾の発信後に申込みの撤回の通知が到達し、しかも、通常であれば承諾の発信前に申込みの撤回が到達すべき時に発送したものであることを承諾者が知ることができるときには、承諾者に通知義務を課しています。

しかし、今回の改正において、承諾の意思表示は、従来の発信主義から到達主義に変更されています(522条1項♪リンク♪)。したがって、改正法によれば承諾の発信があっても契約はまだ成立しておらず、申込みの撤回の通知は「間に合っている」状態です。したがって、一般原則にしたがい、単純に申し込みの撤回と承諾の「到達」で、どちらが早いかで決めればいいものと思われます。また、現代においては承諾通知が延着する現実的な可能性は低いことからからも、この規定の必要性は薄れているものと思われます。

したがって、この規定は削除されました。