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第529条の2(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)


【改正法】
(指定した行為をする期間の定めのある懸賞広告)
第529条の2 懸賞広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告を撤回することができない。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。

2 前項の広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。
【旧法】
(懸賞広告の撤回)
第530条
3 懸賞広告者がその指定した行為をする期間を定めたときは、その撤回をする権利を放棄したものと推定する。

※上記赤字の部分が改正部分です。

【解説】

本条は、第529条「の2」と、条文番号に枝番がついているので、新設の条文っぽいですが、旧530条3項に規定があり、その内容を整理し追加した条文です。そして、本条では、指定行為をする期間を定めた場合を規定し、次条では期間を定めない場合を規定しています。

まず、懸賞広告の撤回が認められる場合について、懸賞広告の指定行為に着手した第三者の期待を保護する観点から見直しがなされました。懸賞広告をした後、懸賞の対象となった発明発見がなされてしまった、あるいは、懸賞広告者自身の努力によって指定行為が達成されてしまったというような場合に撤回の実益があります。これについて、広告者は、その指定した行為をする期間を定めてした広告については撤回することができません(第1項)。ただし、その広告において撤回をする権利を留保したときは、撤回することができます。

次に、旧法530条3項は、指定行為の期間を定めた場合の懸賞広告の撤回については規定がありますが、懸賞広告がいつまで効力を持つのかについては規定されていません。そこで、本条のような指定行為の期間を定めたような場合には、その期間が経過したことにより、懸賞広告の効力が失われるとするのが妥当だということで、「(懸賞)広告は、その期間内に指定した行為を完了する者がないときは、その効力を失う。」と規定しました(第2項)。