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履行確保法1条(目的)

【解説】

1.法律の背景

平成17年に発覚した構造計算書偽装事件は、非常に大きな社会問題となり、耐震強度を偽装されたマンションの住民は、新たにマンションの建替えなどの必要に迫られたわけですが、本来このようなマンションを販売した分譲業者は、瑕疵担保責任を負い、マンションの建替えの費用などを負担しなければならないはずです。

しかし、この事件が発覚したことによって、この分譲業者自体が倒産してしまい、瑕疵担保責任を負う者がいなくなってしまうという事態が発生しました。

そこで、瑕疵担保責任の追及という権利だけを認めても、現実にそれを履行してもらわなければ買主等は保護されないということが強く意識され、この法律が制定されました。

2.他の法律との関係

もともと欠陥住宅を購入した買主は、民法により売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。その内容は、瑕疵の存在を知ってから1年以内に解除、損害賠償を請求できるというものです。ただ、民法のこの規定は任意規定とされ、担保責任を負わない旨の特約も基本的には有効とされます。

これに対して、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が自ら売主で、買主が宅地建物取引業者でない場合には、瑕疵担保責任を負う期間を2年以内とする特約を除き、民法より不利な特約を禁止しています。したがって、宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者でない者が買主の場合には、売主が瑕疵担保責任を負わないという特約は無効になります。しかし、この場合でも瑕疵担保責任を負う期間を引渡しから2年とする特約は認められていることになります。

このような問題があるので、平成12年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が制定され、柱や床など住宅の基本構造部分や雨水の侵入する部分については、すべての新築住宅について、売主は引渡しから10年間瑕疵担保責任を負うことが義務付けられました。

このように瑕疵担保責任による保護が強化されたにもかかわらず、前述のように売主が倒産等によって瑕疵担保責任を履行できなくなった場合には、買主等は全く保護されず、その不都合が問題になったわけです。

3.本法による買主等の保護

そこで、本法によって以下の買主等の保護が講じられました。

① 建設業者及び宅地建物取引業者に対して瑕疵担保保証金の供託か、又は住宅瑕疵担保責任保険法人による住宅瑕疵担保責任保険の加入を義務付け

② 住宅紛争処理機関による紛争の解決