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借地借家法14条(第三者の建物買取請求権)

【解説】

前条の第13条の建物買取請求権については、単純に借地権設定者A、借地人Bの間で、BがAに建物買取請求権を行使するという場合でしたが、「第三者」の建物買取請求権というパターンもあります。

それは、「第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。」というものです。

借地権の譲渡・転貸で説明した事例で、借地権設定者A、借地人B、借地上の建物の譲受人Cという事例ですが、この場合借地上の建物の譲渡は、借地権の譲渡・転貸が伴うという話をしました。

この場合、Bが建物を譲渡しようとする場合に、まず地主の承諾を求めに行きます。地主の承諾がもらえなければ、裁判所に地主の承諾に代わる許可をもらえばいいという話をしました。

しかし、Bはすでに建物をCに譲渡してしまいました。ところが、地主は借地権の譲渡・転貸を承諾してくれないという場合には、建物はすでに譲渡してしまっているので、この場合に借地借家法は建物の譲受人(借地借家法では「第三者」と表現しています。)に建物買取請求権を与えようというわけです。

ここで注意してほしいのは、地主の承諾に代わる裁判所の許可は、借地人(B)が申し立てるのに対して、第三者の建物買取請求権は、第三者(C)が請求するということです。

混乱せずに覚えて下さい。建物買取請求権は、建物の所有者が行うので、現在の建物所有者Cが請求するというのは、当たり前といえば当たり前ですが、試験のときなどにヒッカケられないようにして下さい。