過半数

【解説】

【読み方】かはんすう

非常に簡単な言葉なので、この言葉を取り上げるのは、ちょっと迷ったんですが、以前に確認のような感じで受講生から質問されたこともありますし、この宅建用語集は、「今さら人に聞けない」用語も取り上げるという趣旨なので、あえて取り上げてみましょう。十分分かっているという方は、読み飛ばせばいいでしょう。

何といっても、「過半数」という言葉が一番多く登場するのは、区分所有法だと思います。
区分所有法の集会において、普通決議では、区分所有者及び議決権の「過半数」で決します。

この「過半数」というのは、「2分の1以上」というのとは異なります。
「過」半数というくらいですから、2分の1を1票でも多く獲得しなければいけません。
たとえば、集会において管理者を選任する場合、一人一議決権として、100人の区分所有者がいたとします。
このうちの50人が候補の管理者の選任に賛成したとしても、この議案は否決となります。否決ということは、その候補者は管理者に選任されないということです。
51人以上の人が賛成して、はじめて管理者の選任決議が成立します。

ここからは、宅建の範囲を超えてしまいますが、念のために、100人の区分所有者のうち、全員が集会に参加するとは限らないので、51人未満でも決議が成立する場合もあるのではないか、と考える人もいるかもしれませんが、「区分所有法」上は、51人以上の賛成が必要です。
なぜならば、区分所有法の「区分所有法及び議決権」というのは、「『総』区分所有者及び『総』議決権」という意味だからです。
したがって、(代理出席や書面による議決権行使も含めて)集会に出席したのが、60人であったとしても、51人以上の賛成が必要です。
だから、区分所有法の規定というのは、普通決議といえども、非常に厳しいものです。

ただ、区分所有法の規定では、「集会の議事は、この法律又は『規約に別段の定めがない限り』、区分所有者及び議決権の各過半数で決する」(区分所有法39条1項)とされているので、この普通決議は、規約で別段の定めをすることができます。
そして、通常の分譲マンションは、国土交通省が定めた標準管理規約というのを採用していますが、この標準管理規約では、総会の議事は、「出席」組合員(出席区分所有者)の議決権の過半数で決するとしています。したがって、現実のマンションの集会では、51人以下でも決議が成立する可能性があります。

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