権利関係

【解説】

本日は宅建試験の科目の一つである「権利関係」という言葉について説明します。
この「権利関係」という言葉は、他の国家試験では聞いたことがないので(単に私の不勉強で知らないだけかもしれませんが…)、説明しておきます。

宅建試験は、みなさん御存じのように権利関係、宅建業法、法令上の制限、税その他という4つの科目で構成されています。
そもそも宅建試験の内容はどのようにして決まっているのかというと、実は宅地建物取引業法施行規則8条に規定があって、それに従って決められています。
実際の条文の内容は、下記のようになっています(関連する第7条とともに引用します)。

(試験の基準)
第7条 法第16条第1項の規定による試験(以下「試験」という。)は、宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準を置くものとする。

(試験の内容)
第8条 前条の基準によつて試験すべき事項は、おおむね次のとおりである。
一 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
二 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
三 土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
四 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
五 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
六 宅地及び建物の価格の評定に関すること。
七 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

その第8条第2号の「土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること」というのが権利関係に相当します。

この権利関係で出題される法律は、主に民法です。権利関係=民法くらいの感じです。
ただ、民法以外にも、借地借家法(借地と借家で2問出題されることが多い)、区分所有法(1問)、不動産登記法(1問)が出題されるのが通常です。
借地借家法は、民法の賃貸借の特別法ですが、非常に重要な法律ですので、感覚的には民法の賃貸借に含まれるくらいの感じのところです。現実にも、民法の賃貸借と借地借家法の内容が1問の中で出題されることも多いです。
したがって、民法+区分所有法(1問)+不動産登記法(1問)という感じでしょうか。

ところで、この「権利関係」という言葉ですが、宅建試験は不動産に関する試験で、宅建業者(大雑把にいえば不動産会社)が不動産の取引をするにあたって必要な知識を問う試験です。
不動産(土地及び建物)の取引というのは、いろいろありますが、不動産の売買と賃貸借が一番典型的なものではないでしょうか。このような不動産の取引に伴って、当事者には不動産に関する権利義務が発生したり、変動したり、消滅したりします。
この不動産の取引にともなって、当事者の「権利関係」が変動するので、「権利関係」というわけです。

この権利で最も重要なのが「民法」です。民法には、売買契約や賃貸借契約に関する規定があります。
そして、不動産の取引でも重要な分譲マンションについて定められているのが区分所有法です。さらに、権利関係の変動があれば、その不動産の権利関係の変動を世間一般に公示するために不動産登記がなされますので、不動産登記法も出題されます。

この民法を中心とした権利関係は、法律の勉強の最も基本的なものなので、試験的には非常に重要になります。しっかり学習して下さい。

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