「特定物」「不特定物」とは


【解説】

1.特定物とは

この「特定物」とは、不特定物に対する言葉ですが、物の個性に着目した言葉です。

たとえば家具屋で、「この机を下さい。」と言って注文したとしましょう。新品の家具を注文したときは、「この机」といっても、指さした机そのものが家に配達されるわけではないですよね。指さした机と同じ種類のものが倉庫かどこかから家に配達されます。こういうのを不特定物といいます。要するに種類と数量を指示して取引する場合で、同じ種類のものなら、別の物でもいいような場合です。

ところが、中古の机の場合は、同じ種類の机ならばどれでもいいということはないでしょう。店で、「この机」と言えば、まさに指さしたその机が配達されてきます。買う方としては、傷みの少ないこの机が、この値段ならお値打ち品だ、などと思って買うわけです。こういうのを特定物といいます。

他に、不動産というのは、それが土地でも建物でも、すべて「特定物」です。不動産には、すべて個性があります。「宅地100平方メートルを売りましょう。」というときに、どの土地でも100平方メートルの土地ならいいという人は、ひっくり返ってもいないはずです。

この特定物と不特定物は、危険負担の債権者主義、債務者主義の違い等で問題になります。


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