下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成25年 問4

【動画解説】法律 辻説法

【問 4】 マンションの専有部分甲(以下「甲」という。)について区分所有権を有するAが、甲を売買又は賃貸した場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法(平成3年法律第90号)の規定及び最高裁判所の判例に照らして、正しいものはどれか。

1 Aが甲をBに売ったが、その旨の移転登記がなされない限り、Bは、甲についての区分所有権を取得しない。

2 Aが甲をBに売り、BがそれをCに転売してCがそこに居住している場合に、その後、AがBの代金不払いを理由に売買契約を解除したときには、Aは、Cに対して、Cが甲の移転登記を得ているか否かにかかわらず、甲の明渡しを請求することができる。

3 Aが甲をBに賃貸し、BがそれをAに無断でCに転貸してCがそこに居住した場合に、Aは、特段の事情がない限り、Bとの賃貸借契約を解除し、Cに対して甲の明渡しを請求することができる。

4 Aが甲をBに賃貸し、Bがそこに居住した後に、Aが甲をCに売りその旨の登記をCに移転した場合に、Cは、Bに対して、甲の明渡しを請求することができる。

【解答及び解説】

【問 4】 正解 3

1 誤り。物権の設定及び移転は、当事者の「意思表示のみ」によって、その効力を生ずる。したがって、移転登記がなされていなくても、売買契約が有効に成立していれば、Bは所有権を取得する。登記は第三者に対する対抗要件である。
*民法176条

2 誤り。当事者の一方がその解除権を行使したときは、第三者の権利を害することはできないが、第三者が保護されるには、登記が必要とされる(判例)。したがって、Cは登記がなければ、甲の明渡しを請求することはできない。
*民法545条1項

3 正しい。賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借物を転貸することができず、賃貸人の承諾なく転貸した場合は、賃貸人は、契約を解除して、賃貸物の明渡しを請求することができる。
*民法612条

4 誤り。建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。したがって、Bは甲にすでに居住しているので、引渡しを受けているといえ、Cに対して明渡す必要はない。
*借地借家法31条1項


【解法のポイント】この問題は、基本的なものだったと思います。