下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

管理業務主任者 過去問解説 平成27年 問39

【動画解説】法律 辻説法

【問 39】 次の記述のうち、判例によれば、正しいものの組合せはどれか。

ア 甲マンションにおいて、これまでにペットの飼育に関する規約がなかった場合に、盲導犬等を除いて犬や猫などのペットの飼育を禁止する旨の規約を設定することは、その飼育による実害の発生又はその発生の蓋然性がないときでも許される。

イ 乙マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷等することによって管理組合の業務の遂行や運営に支障を生じさせた場合には、区分所有法に定める「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当する余地がある。

ウ 丙マンションの建物内の倉庫部分について、構造上及び利用上の独立性があっても、当該倉庫部分の一部に他の区分所有者のための共用設備が設置されている場合には、当該倉庫部分が専有部分となる余地はない。

エ 丁建物について、区分所有建物である旨の登記が可能であるにもかかわらず、区分所有建物ではない1棟の建物としての登記がなされた場合には、丁建物は「区分所有建物ではない建物」とみなされるので、その後、これにつき区分所有建物である旨の登記をすることはできない。

1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・エ

【解答及び解説】

【問 39】 正解 1

ア 正しい。ペットの飼育に関する規約がなかった場合に、盲導犬等を除いて犬や猫などのペットの飼育を禁止する旨の規約を設定することは、その飼育による実害の発生又はその発生の蓋然性がないときでも許される(東京高裁平6.8.4平3(ネ)4490等)。
*区分所有法30条

イ 正しい。マンションの区分所有者が、業務執行に当たっている管理組合の役員らをひぼう中傷する内容の文書を配布し、マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどする行為は、それが単なる特定の個人に対するひぼう中傷等の域を超えるもので、それにより管理組合の業務の遂行や運営に支障が生ずるなどしてマンションの正常な管理又は使用が阻害される場合には、法6条1項所定の「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たるとみる余地があるというべきである( 最判 平24.1.17平成22(受)2187)。
*区分所有法6条1項

ウ 誤り。建物内の倉庫部分について、構造上及び利用上の独立性があれば、当該倉庫部分の一部に他の区分所有者のための共用設備が設置されている場合でも、この共用設備が当該建物部分の小部分を占めるにとどまり、その余の部分をもって独立の建物の場合と実質的に異なるところのない態様の排他的使用に供することができる等の場合であれば、当該倉庫部分が専有部分となりうる(最判昭61.4.25昭和57(オ)861)。
*区分所有法1条

エ 誤り。区分所有建物である旨の登記が可能であるにもかかわらず、区分所有建物ではない1棟の建物としての登記がなされた場合であっても、その後、これにつき区分所有建物である旨の登記をすることはできる。


【解法のポイント】肢エは、内容的には問題はないと思いますが、なかなかピッタリした判例が見つかりません。しかし、肢ア~肢ウは問題ありませんので、正解は肢1で問題はないと思われます。