下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。
管理業務主任者 過去問解説 令和7年 問1
【問 1】 次の事例のうち、民法の規定によれば、善良な管理者としての注意義務まで求められないものはどれか。
1 Aは、隣人Bが一週間ほど留守宅にしていることを知っていたので、B宅に届いた宅配品甲を、Bに無断で宅配業者から預かった。この場合におけるAの甲についての注意義務。
2 Aは、Aが修理したB所有の自動車甲の修理代金をBが支払わないので、支払がされるまで、甲の引渡しを拒絶した。この場合におけるAの甲についての注意義務。
3 Aは、友人B所有の自動車甲を無償で移転登録手続することを約し、Bから甲の引渡しを受けた。この場合におけるAの甲についての注意義務。
4 Aが、同居していたAの父Bが生前所有していた家屋甲にBの死亡後も継続居住しているが相続は放棄している。この場合における、相続人又は相続財産の清算人に引き渡すまでのAの甲についての注意義務。
【解答及び解説】
【問 1】 正解 4
1 善管注意義務。本肢のAは、義務なく他人のために事務の管理を始めたものであり、事務管理と認められるが、事務管理者は、「その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(事務管理)をしなければならない」。これは事務管理に善管注意義務を課したものと考えられている。
*民法697条1項
2 善管注意義務。本肢のAの行為は、留置権を行使しているものと認められる。そして、留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
*民法298条1項
3 善管注意義務。本肢のAB間の契約は、委任契約と認められるが、委任契約において受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
*民法644条
4 自己の財産におけるのと同一の注意義務。相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
*民法940条1項
【解法のポイント】本問は、事例が表している内容が、どの条文に該当するのか判断が難しかったかもしれません。