下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成21年 問34

【問 34】 総会において、会計担当理事が平成20年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)決算の管理費会計の収支報告書又は貸借対照表に関して行った次の説明のうち、適切なものはどれか。ただし、会計処理は発生主義の原則によるものとし、資金の範囲は、現金預金、未収金、未払金、前受金及び前払金とする。

1 収支報告書の管理費収入が当初予定より多かったのは、年度途中で管理費を値上げしたことが主な要因ですが、管理費の前受金が増加したことも一因です。

2 現金預金が増加しているのは、管理費の前受金が増加していることによります。この結果、次期繰越収支差額は増加しております。

3 当年度において、来年度分を含めて2年分の保険料を支払っていますが、当年度の収支報告書では当年度分のみを計上し、来年度分の保険料については、貸借対照表に計上しております。

4 収支報告書の次期繰越収支差額と貸借対照表の正味財産金額は前年度まで一致していましたが、本年度は来年度分の損害保険料を貸借対照表に資産計上しているため一致していません。

【解答及び解説】

【問 34】 正解 3

1 不適切。年度途中で管理費を値上げすれば、管理費収入の増加の要因になるという点は正しいが、発生主義によると、管理費収入は発生月に計上され、前受金が増加しても管理費収入としては認識されないので、問題文の後半は不適切である。

2 不適切。前受金が増加すると、現金預金は増加する。しかし、収支報告書上の次期繰越収支差額は、貸借対照表上の資産の部から負債の部を引いたものであるから、現金預金が増加しても、前受金という負債も増加しているので、次期繰越収支差額が増加するということはない。

3 適切。発生主義においては、当年度分の保険料については、費用として収支報告書に計上されるが、来年度分の保険料については、貸借対照表の資産の部に前払金として計上されることになる。

4 不適切。貸借対照表の正味財産は、資産の部から負債の部を引いたものであり、これは収支報告書の次期繰越収支差額と一致し、これは来年度分の損害保険料を貸借対照表に資産計上している場合でも同様である。