下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成22年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 組合員Aの甥Bが酒を飲み過ぎて錯乱し、金属バットで共用部分である玄関ドアを破損させた場合における次の記述のうち、区分所有法、民法及びマンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 管理組合は、BがAと同居しているか否かを問わず、Bに対し、損害賠償を請求することができる。

2 BがAと同居している場合、以前から、管理組合が酒癖の悪いBの生活の秩序を乱す行為を是正するようAに警告していたときは、Aに対し、損害賠償を請求することができる。

3 BがAからマンションを借りて居住している場合には、Bは、管理組合に対してドアの原状回復義務を負う。

4 Bが専有部分の共有者である場合には、Aは、共有者として、管理組合に対してBと連帯して損害賠償責任を負う。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 4

1 正しい。Bが金属バットで共用部分である玄関ドアを破損させている以上、BがAと同居しているか否かを問わず、管理組合はBに対して損害賠償を請求することができる。なお、Bは酒を飲み過ぎて錯乱しており、「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある」といえる可能性があるが、この場合でも、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、責任能力があるとされている。
*民法713条

2 正しい。区分所有者の同居人が、共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な警告を行うことができる。このような警告がAに対してなされている以上、管理組合はAに対して損害賠償を請求することができる。
*標準管理規約67条3項2号

3 正しい。専有部分の貸与を受けた者が、敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは、理事長は、理事会の決議を経て、原状回復のための必要な措置の請求に関し、管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
*標準管理規約67条3項1号

4 誤り。本問で不法行為を行っているのはBであり、Aは単に共有者であるということだけでは、共同不法行為の責任を負うことはない。
*民法719条