下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成25年 問10

【問 10】 甲マンションの管理組合は、自ら居住しない組合員(この問いにおいて「不在組合員」という。)に対して、組合費のほかに住民活動協力金を負担させる旨の規約の変更を行った。この場合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものは次のうちどれか。

1 規約の変更の効力は、規約の変更の必要性及び合理性とこれによって不在組合員が受ける不利益とを比較衡量し、実態に照らし、その不利益が不在組合員の受忍すべき限度を超えると認められるかどうかによって判断すべきである。

2 規約の変更によって不在組合員が受ける不利益についての判断に当たっては、組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担と居住組合員が負担する組合費とを比較衡量する必要はない。

3 管理組合の運営業務及びその費用は、本来、組合員が平等に負担すべきであり、不在組合員が占める割合が大きく、それらが管理組合活動等に参加することが期待し得ない場合は、規約を変更し、不在組合員のみを対象として金銭的負担を求めることは合理性を欠くものと見ることはできない。

4 規約の変更の効力を判断するに当たっては、不在組合員のうち住民活動協力金の支払を拒否する者の数及び不在組合員全体に対するその割合を考慮する必要がある。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 2

1 正しい。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、特別の影響を及ぼすかどうかは、規約の変更の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、実態に照らし、その不利益が一部の区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められるかどうかによって判断される。
*区分所有法31条1項

2 誤り。規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならないが、特別の影響を及ぼすかどうかは、一部の区分所有者が受ける不利益が受忍すべき限度を超えると認められるかどうかによって判断されるので、組合費と住民活動協力金とを合計した不在組合員の金銭的負担と居住組合員が負担する組合費とを比較衡量する必要がある。
*区分所有法31条1項

3 正しい。不在組合員が占める割合が大きく、それらが管理組合活動等に参加することが期待し得ない場合は、不在組合員のみを対象として金銭的負担を求めることは、規約の変更の必要性及び合理性が高いといえる。
*区分所有法31条1項

4 正しい。不在組合員のうち住民活動協力金の支払を拒否する者の数及び不在組合員全体に対するその割合が少ない場合は、不在組合員において受忍すべき限度を超えるとまではいうことができないので、これらを考慮する必要がある。
*区分所有法31条1項


【解法のポイント】規約の変更が一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼす場合の、当該区分所有者の承諾については、よく出題されます。なかなか判断が難しい部類の問題ですが、4つの肢を比較対照して正解を求めるのが一番効果的だと思います。その際の判断としては、肢1に出てくる「受忍限度」というのがポイントです。