下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

マンション管理士 過去問解説 平成30年 問10

【動画解説】法律 辻説法

【問 10】 一筆の敷地上に、甲棟、乙棟、丙棟が存在している。甲棟及び乙棟は戸建て住宅、丙棟は専有部分のある建物であり、また、甲棟の所有者はA、乙棟の所有者はB、丙棟の区分所有者はC、D、Eである。敷地は、A、B、C、D、Eが共有している。この場合の団地管理組合に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、乙棟の建替えは他に特別の影響を及ぼさないものとする。

1 団地管理組合は、団地管理組合の集会において、共有持分の4分の3以上を有するものが承認し、かつ、Aの同意があれば、甲棟を管理するための団地規約を定める決議をすることができる。

2 Bが乙棟を取り壊し、かつ、従前の乙棟の所在地に新たに建物を建築しようとする場合には、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による承認の決議を得なければならない。

3 団地管理組合が規約を定めて丙棟の管理を行っている場合に、地震によって丙棟の建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失したときに、その滅失した共用部分を復旧しようとするときは、団地管理組合の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をする必要がある。

4 団地管理組合は、団地管理組合の集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で、団地内建物のすべてにつき一括して、その全部を取り壊し、かつ、同一敷地上に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる。

【解答及び解説】

【問 10】 正解 2

1 誤り。一団地内の土地又は附属施設や、団地内の専有部分のある建物については、それを管理するための団地規約を設定することができるが、戸建て住宅(甲棟)を管理するための規約は設定することができない。
*区分所有法68条1項

2 正しい。一団地内にある数棟の建物の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の特定の建物(特定建物)の所在する土地が団地建物所有者の共有に属する場合においては、団地管理組合の集会において議決権の4分の3以上の多数による承認の決議(建替え承認決議)を得たときは、当該特定建物の団地建物所有者は、当該特定建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地に新たに建物を建築することができる。
*区分所有法69条1項

3 誤り。団地においては、復旧に関する規定が準用されていないので、団地管理組合の集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることはできず、各棟ごとに復旧決議をすればよい。
*区分所有法66条

4 誤り。団地内建物のすべてにつき一括して、その全部を取り壊し、かつ、同一敷地上に新たに建物を建築する旨の決議(一括建替え決議)をするための要件として、団地内建物の全部が専有部分のある建物であることが必要である。
*区分所有法70条1項


【解法のポイント】建替え承認決議や一括建替え決議については、要件が重要となります。しっかり確認しておいて下さい。