下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成12年 問8

【問 8】 Aが、その過失によってB所有の建物を取り壊し、Bに対して不法行為による損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 Aの不法行為に関し、Bにも過失があった場合でも、Aから過失相殺の主張がなければ、裁判所は、賠償額の算定に当たって、賠償金額を減額することができない。

2 不法行為がAの過失とCの過失による共同不法行為であった場合、Aの過失がCより軽微なときでも、Bは、Aに対して損害の全額について賠償を請求することができる。

3 Bが、不法行為による損害と加害者を知った時から1年間、損害賠償請求権を行使しなければ、当該請求権は消滅時効により消滅する。

4 Aの損害賠償債務は、BからAへ履行の請求があった時から履行遅滞となり、 Bは、その時以後の遅延損害金を請求することができる。

【解答及び解説】

【問 8】 正解 2

1 誤り。当事者から過失相殺の主張がなくても、被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
*民法722条2項

2 正しい。数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。したがって、Aの過失が軽微なときでも、BはAに対して全額の損害賠償請求をすることができる。
*民法719条1項

3 誤り。不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅する。
*民法724条

4 誤り。不法行為に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であるが、通常の期限の定めのない債務と異なり、損害の発生と同時に遅滞に陥る。Bは損害発生時からの遅延損害金を請求することができる。
*民法412条3項参照


【解法のポイント】肢2の共同不法行為ですが、法律で「連帯」という言葉は、「全額」と置き換えれば理解しやすいと思います。他に、「連帯」債務というのも、債務者全員に「全額」の請求をすることができる債務ですよね。