下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 平成15年 問1

【問 1】 意思無能力者又は制限能力者に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。

2 法改正により削除

3 成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、成年後見人は、当該意思表示を取り消すことができる。

4 被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合、保佐人は、当該意思表示を取り消すことができる。

【解答及び解説】

【問 1】 正解 3

1 誤り。意思能力を欠いている者の行為は無効である。したがって、その意思表示を取り消すまでもなく最初から契約の効力は生じていない。

2 法改正により削除

3 正しい。成年後見人は、代理権・取消権は有しているが、同意権は有しない。したがって、成年後見人が成年被後見人に対して事前に同意を与えても、その同意に意味はなく、成年被後見人が単独で行った意思表示を取り消すことができる。これは、成年被後見人は制限能力者の中では最も能力が低く、同意の意味を理解できない場合があるからである
*民法9条、859条

4 誤り。保佐人には、被保佐人の行う一定の重要な行為について同意権がある。その一定の重要な行為の中に「不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をなすこと」というのがあるので、本肢の土地の売却の意思表示には保佐人の同意が必要であり、逆に同意があれば、意思表示は有効なものとなる。したがって、被保佐人が保佐人の事前の同意を得て当該意思表示を行ったのであれば、その意思表示を取り消すことはできない。
*民法13条1項3号


【解法のポイント】制限能力者制度については、出題当時大きな改正があったところですが、本問はそのような改正があった部分ではなく、改正がない部分からの出題になっています。