下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和元年 問16

【動画解説】法律 辻説法

【問 16】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可を要する開発行為の面積については、条例による定めはないものとし、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

1 準都市計画区域において、店舗の建築を目的とした4,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。

2 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的とした1,500㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。

3 市街化調整区域において、野球場の建設を目的とした8,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。

4 市街化調整区域において、医療法に規定する病院の建築を目的とした1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなくてよい。

【解答及び解説】

【問 16】 正解 1

1 正しい。準都市計画区域においては、3,000㎡未満の土地の区画形質の変更については、開発許可は不要であるが、本肢は4,000㎡であり、開発許可が必要となる。
*都市計画法29条1項1号

2 誤り。市街化区域においては、1,000㎡未満の土地の区画形質の変更については、開発許可は不要であるが、本肢は1,500㎡であり、開発許可が必要となる。なお、農林漁業を営む者の居住用建築物の建築目的の場合に開発許可が不要となる例外は、市街化調整区域、非線引区域又は準都市計画区域内で行う場合に限られ、市街化区域内では適用はない。
*都市計画法29条1項2号

3 誤り。開発許可は、主として建築物の建築又は「特定工作物」の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更の場合に必要であるが、野球場は1ha以上の場合にのみ特定工作物に該当する。したがって、本肢の野球場は特定工作物に該当せず、そもそも開発行為に該当しないので、開発許可は不要である。
*都市計画法4条11項・12項

4 誤り。公益上必要な建築物の建築目的の開発行為については、開発許可は不要であるが、病院はこの公益上必要な建築物に該当しない。また、市街化調整区域においては、いわゆる小規模開発の例外は認められておらず、小規模な開発行為であっても開発許可が必要である。以上より、本肢は開発許可が必要となる。
*都市計画法29条1項3号参照



【解法のポイント】都市計画法において、開発許可は必須の論点です。ただ、本問は基本的なものだったので、問題はないと思います。肢4の病院は、以前は公益上必要な建築物に該当しましたが、かなり前の法改正で公益上必要な建築物から外されています。病院、学校、社会福祉施設は、一見公益上必要な建築物っぽい感じがしますが、これに「該当しない」ものの具体例として覚えておいた方がいいです。