下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和元年 問23

【問 23】 個人が令和元年(平成31年)中に平成31年1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合のその譲渡に係る譲渡所得の課税に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 その譲渡について収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除の適用を受ける場合であっても、その特別控除後の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。

2 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、その個人が平成29年において既にその特例の適用を受けている場合であっても、令和元年(平成31年)中の譲渡による譲渡益について適用を受けることができる。

3 居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除は、その個人がその個人と生計を一にしていない孫に譲渡した場合には、適用を受けることができない。

4 その譲渡について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受ける場合には、その譲渡があったものとされる部分の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができない。

【解答及び解説】

【問 23】 正解 2

1 正しい。収用交換等の場合の譲渡所得等の5,000万円特別控除と、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は重複適用することができる。したがって、5,000万円特別控除後の譲渡益について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることができる。
*租税特別措置法第31条の3第1項

2 誤り。当該個人がその年の前年又は前々年において既にこの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けている場合には、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできない。
*租税特別措置法第31条の3第1項

3 正しい。居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除は、当該個人の配偶者及び「直系血族」に対する譲渡については、適用されない。この「直系血族」については、生計を一にしているかどうかは問われていない。
*租税特別措置法20条の3第1項1号

4 正しい。収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例と、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、選択適用となっているので、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受ける際に、譲渡の際の譲渡益に居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできない。
*租税特別措置法第31条の3第1項



【解法のポイント】税金が2問になってから、所得税の出題頻度が減っていますが、以前は毎年のように出題されていました。そのときの頻出項目が本問の譲渡所得の特例の選択適用・重複適用の論点でした。久しぶりとはいえ、依然として基本事項であることに変わりはないので、確実に正解したい問題です。