下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和7年 問30

【問 30】 いずれも宅地建物取引業者であるA社、B社及びC社(以下この問において「売主ら」という。)が、分讓マンションを共同で建築、販売することとなり、建築確認を受けた後、工事完了前にその一室を5,000万円で宅地建物取引業者ではない個人である買主に売却しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に違反するものはいくつあるか。

ア 売主らは、共同する全社が各個に重要事項説明を実施すると、かえって買主を混乱させると考え、買主の了解を得た上で、A社1社を幹事社とし、A社の宅地建物取引士が単独で重要事項説明書に記名のうえ、買主に交付し説明を行った。

イ 売主らは、A社の事務所において買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結したが、売主らは当該売買契約には法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフの適用はないと判断し、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付は行わなかった。

ウ 売主らは、当該物件については、重要事項説明の時点では共用部分に関する規約が案であるので、買主の了解を得た上で、契約締結後に決定した規約を交付することとし、重要事項説明書への記載は省略した。

エ 売主らは買主から手付金500万円を受領することとしたが、手付金の保全措置を講じる必要はないと判断し、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【解答及び解説】

【問 30】 正解 3

ア 違反する。重要事項の記名及び説明は、「売主」である宅地建物取引業者が行う必要があるが、売主が複数いる場合、実際の説明は、1社が代表して行うことは差し支えないが、重要事項の説明書には、それぞれの売主の宅地建物取引士が記名する必要がある。
*宅建業法35条1項

イ 違反しない。売主の「事務所」において、買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結した場合は、クーリング・オフすることはできないので、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付をする必要はない。
*宅建業法施行規則16条の6

ウ 違反する。区分建物の売買において、「共用部分に関する規約の定めがあるときは、その内容」は、重要事項説明書の記載事項であるが、この規約は「その案を含む」とされているので、その案を重要事項説明書に記載する必要がある。
*宅建業法施行規則16条の2第2号

エ 違反する。本問では、未完成物件の区分建物の売買であるから、手付金の額が売買代金の5%(250万円)を超えるときは、手付金等の保全措置を講じる必要がある。したがって、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載をする必要がある。
*宅建業法41条1項

以上より、宅建業法に違反するのは、ア、ウ、エの3つであり、肢3が正解となる。


【解法のポイント】この問題は、個数問題ではありますが、基本的なものだったと思います。