下記の問題及び解説は、必ずしも現時点における法改正及びデータを反映したものではない場合があります。

宅建 過去問解説 令和8年 問9

【問 9】 A所有の甲土地上の乙建物のための法定地上権の成否に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 甲土地に順位1番の抵当権が設定された後にA所有の乙建物が建築され、その後甲土地に順位2番の抵当権が設定されて、順位2番の抵当権者の申立てにより甲土地の競売がなされて甲土地の所有者がBとなった。この場合、乙建物のために法定地上権が成立する。

2 C所有の乙建物がある甲土地に順位1番の抵当権が設定された後にAが乙建物の所有権を取得し、その後甲土地にDのために順位2番の抵当権が設定された。甲土地の順位1番の抵当権が設定契約の解除により消滅した後に甲土地のDの抵当権が実行されて甲土地の所有者がEとなった場合、乙建物のために法定地上権が成立する。

3 F所有の乙建物がある甲土地に抵当権が設定された。甲土地の抵当権が実行されて競落に至る直前に乙建物の所有者がAとなった場合、乙建物のために法定地上権は成立しない。

4 甲土地に抵当権が設定された後に、A所有の乙建物が建築され、甲土地の抵当権が実行されて甲土地の所有者がGとなった。この場合、原則として乙建物のために法定地上権は成立しない。

【解答及び解説】

【問 9】 正解 1

1 誤り。法定地上権の成立は、基本的に第一順位の抵当権の設定時の状態で判断される。本肢では、第1順位の抵当権設定時には、土地の上に建物が存在することという法定地上権の成立要件を満たしていないので、乙建物のために法定地上権は成立しない。
*民法388条

2 正しい。法定地上権の成立は、基本的に第1順位の抵当権の設定時の状態で判断される。本肢では、第1順位の抵当権設定時には、土地と建物の所有者が同一であるという法定地上権の成立要件を満たしていない。しかし、本肢ではこの第1順位の抵当権は設定契約の解除により消滅し、第2順位の抵当権は第1順位に上昇し、その時点では土地と建物の所有者は同一であるから、法定地上権が成立する。
*民法388条

3 正しい。法定地上権の成立要件である土地と建物の所有者が同一であるという成立要件は、抵当権設定時の状態で判断される。したがって、本肢では抵当権設定時に土地と建物の所有者が別人である以上、法定地上権は成立しない。
*民法388条

4 正しい。法定地上権の成立要件である土地の上に建物が存在することという成立要件は、抵当権設定時の状態で判断される。したがって、本肢では抵当権設定時に土地の上に建物が存在しない以上、法定地上権は成立しない。
*民法388条


【解法のポイント】この問題は、解説の通り、法定地上権の成立要件は、(第1順位の)抵当権設定時の状態で判断するというだけの問題ですが、事例がいろいろ書いてあるので、混乱した人もいるかもしれません。惑わされないようにしっかり判断して下さい。