宅建 過去問解説 平成7年 問46
【じっくり解説】
この内容は、本試験での出題の仕方というのか、問題文を読む際の注意点という極めて実践的な内容です。本日の内容の主眼は、各肢ではなく、「全体の問題文」の中にあります。
私の個人的な感想としては、宅建業法の報酬の問題は、「計算」自体はややこしいですが、問題というのか、「数式」を作るところまでは、非常に簡単だと思います。報酬の計算問題の解答の仕方は、基本的には3段階です。
1.不動産の税抜きの本体価格を出す。
↓
2.媒介なら依頼者の一方から(3%+6万円)等、代理ならその倍額、というふうにいわゆる業法固有の報酬計算をする
↓
3.報酬自体に消費税を上乗せする
たった、これだけで、2.の部分がややこしいということになります。ただ、本日は3.の内容で、ちょっとした注意点ということです。
試験の問題文には、報酬を受領する宅建業者が課税業者か免税業者かが書かれています。そこで、2.で計算した報酬の額に、宅建業者が課税業者であれば8%を上乗せします。
ところが、免税業者の場合は、消費税の上乗せができない感じがするんですが、実は課税業者の半分の3.2%は上乗せして受領することができます。なぜ、免税業者でも消費税の半分を上乗せすることができるのかは、ここでは解説しません。あくまで宅建の試験ですから、消費税のややこしい問題にまでは踏み込む必要はないでしょう。しかし、計算問題においては、この点を考慮する必要があるので、結論さえ覚えておけばいいということです。
と、ここまで説明してきたんですが、宅建の本試験においては、意外にこの「免税業者の消費税乗せ」の問題は、少ないです。この点を考慮しなければならない問題が、ゼロではないだけで、出題自体はほとんどありません。だからといって、出題がゼロではない以上、絶対に覚えておかなければいけません。
この「免税業者の消費税乗せ」の問題が少ない理由は、一つには、事例としてそれを問題とする事例がもともと少ないということもあります。しかし、本来ならば「免税業者の消費税乗せ」を考慮しなければならない事例であるにもかかわらず、「問題文」に、「この点は考慮しなくていいですよ」と書かれている場合です。それが本日のメインの話です。
この問題の「ただし、免税業者が受領できる、媒介又は代理業務の仕入に係る消費税及び地方消費税相当額については考慮しないものとする。」という部分です。この「仕入に係る消費税」が、「免税業者の消費税乗せ」を指しているわけです。したがって、これがある場合は、免税業者が受領する報酬に対する消費税は考慮する必要がなくなります。
問題文を読む際の注意点ということでここで終わってもいいんですが、一応は1問だけ計算も含めて解説しておきます。肢イです。
まずは、第1段階の税抜きの本体価格ですが、土地には消費税はかかりませんので、宅地の7,000万円はそのままです。
次に、建物は税込みで3,200円ですので、3,200万円×100/108(又は÷1.08)=2,962万9,630円となります。ちなみに、当たり前ですが、ここでは消費税は通常の扱いです。あくまで、Cが売主で、免税業者のAは媒介業者にすぎないからです。
したがって、宅地及び建物の合計の本体価格は、9,962万9,630円となります。
本体価格が決まったところで、後は媒介の報酬の計算です。
9,962万9,629円×3%+6万円=304万8,888円となります。
本来ならば、ここから報酬に対して3.2%を上乗せするところですが、問題文に「ただし、免税業者が受領できる、媒介又は代理業務の仕入に係る消費税及び地方消費税相当額については考慮しないものとする。」というのがありますので、上記の金額そのままでいい、ということになります。
【解法のポイント】この問題は、本体価格が似たような数字で、しかも課税業者と免税業者が出てくるので、全部計算せざるを得ないのではないかと思います。ややこしくて時間がかかりそうなら、後回しにするという機転も必要です。
【参考資料】問題原文